2007年 03月 14日
『パラダイス・ナウ』
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↑新潟長岡地域のフリーペーパー「すくらんぶる」に掲載のイラスト。
日常的なメッセージと犯行声明のギャップが笑いを誘うほど。



パレスチナの若者が自爆テロへと向かう48時間を描いたこの映画は、
世界各国で論争を引き起こしているらしい。
私達が見るニュース映像は断片的で、そこの人々がどんな生活をしているか見えず、
「テロ」「過激派」等の言葉先行で不完全な理解を促しがちだ。

極限状況にある若者によるエモーショナルな映画をイメージしていたが、
実に淡々としていた。
あまりにも淡々としているので、
彼らの苦しみや怒りを見逃しそうになるくらいだった。

こういった世界的な問題を題材にした映画を見るにあたっても
ハリウッド仕様の「感動的に盛り上げすぎる映画」に、いかに慣れてしまっているか、
ということに改めて気付かされる。反省。

しかしながら、その淡々としてさりげない会話の中にも
「水源に毒を入れられた」
「今日はどこそこが封鎖されたので家に帰れない」等、
平穏な日常とは言い難いものが混じる。
そういった「私達にとっては異常なこと」が日常に折り込まれているのだ。

そういう日常を暮らしてきた、主人公2人の怒りもある極限を超え、
諦観や絶望に変化して、彼らの中に澱のように沈んでいる。
怒りの感情を持続させることはとても消耗することだから。

彼らは、職を決めるような感覚で自爆テロを選択する。
テロを遂行するサイードの目は、
まっすぐ観客に向かっているのに何も見ていない。
その視線は、彼らの現実を見ないようにして暮らしている私達の頭上を超え、
静かな絶望へと向かっているのである。

3/10より東京都写真美術館ホールにてロードショー
http://www.uplink.co.jp/paradisenow/
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by mekara_uribou | 2007-03-14 23:50


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