2005年 02月 06日
ノイマイヤーハンブルクバレエ 冬の旅
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ジョン・ノイマイヤーというコリオグラファーによる、シューベルトの歌曲集「冬の旅」を題材にしたバレエ作品を見に行ったのは、ハットリユウキチというダンサーに興味があったからである。名前は知っているが作品を見たことはなかったノイマイヤーの舞台、この「冬の旅」はバレエと舞台の間の作品。バレエシアターと呼べるようなものだった。ゲイテイストがまったくないマシュー・ボーンのようでもあるし、行き過ぎないピナ・バウシュのようでもある。印象としてはかなり真面目、真面目でいて美しく、哀しげ。
解説によると、「冬の旅」は911の頃に作られたものだそうだ。なるほど、あの時ビルに閉じ込められたまま犠牲になった人々を思わせるシーン等もある。
主人公の青年は世界を放浪、傍観している、というか疎外されている。911以後、世界の動きと個人の関わりが疎遠になったように感じていたので、青年の「物事をただ傍観している」「物事に関わっているように見えて疎外されている」感じはしっくりきた。

ハットリの衣装はだぶだぶのセーターにだぶだぶのパンツである。「だぶだぶのセーターから指のさきっちょが見える」というのは、いわゆる「萌え」アイテムになったりする。小柄なハットリがだぶだぶの服装でしゃがんでる姿は、ちょっと間違うと「可愛い」とか「萌え」とかに繋がりかねないんだが、そこは天下のハンブルクバレエ、そんなヨコシマな考えが及ぶ隙はない。
長いコート(マントでも可)の裾翻りフェチ、とでも言えそうな友達がいる。ダンサーや役者がくるっと回る仕種に合わせて翻る様が堪らないらしい。気持ちは分かるよ、キャー!とはならないけどね。
ドレスの裾、長いコートの裾、羽織ったマント等が翻る様は「踊る」という行為の中で美しさを演出するものだ。「冬の旅」では「だぶだぶのセーター」でそれをやってみせる。ダンサーの身体にまつわりつく、セーターの余っている部分の動きが美しい空間をつくり出す。

だぶだぶのセーターから指だけだして「プンプン」とか「えへっ」とかやってる場合じゃありませんよ、ホントに。サイズの大きな衣装はバレエのアイテムになるんだなあ、と変なところに感心してしまった私です。
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by mekara_uribou | 2005-02-06 18:01 | 映画以外のレビュー等


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